世の中では「データドリブン」というワードが注目を集めて久しいです。以下は2013年1月1日~2025年1月26日を期間とした、Googleトレンズにおける検索キーワード「データドリブン」の結果です。2016年8月ころに上昇を始め、いまでもまだ上昇傾向が続いているように見えます。

そんな状況ですから、「データに強くなりたい」と思うビジネスパーソンはたくさんいらっしゃると思います。
そんなみなさんの中には、実際に、日々の仕事でデータを活用しているデータバリバリのビジネスパーソンの方もいらっしゃるでしょう。一方、お勤めする会社の方針や環境がそれほどデータを重視していない。あるいは、離職や、お子さんが小さいなどの個人的な事情でまとまった勉強の時間が取れなかった。などで、どうもデータ重視の流れから取り残されちゃったな^^; とお感じのビジネスパーソン、あるいは、就職、再就職、復職をめざす将来のビジネスパーソンの方もたくさんいらっしゃると思います。
現役のデータバリバリのビジネスパーソン(←この方たちはデータの重要性、データ可視化のちからはすでにご存知)に加え、そうしたデータ重視の流れにちょっと取り残されちゃったなとお感じの皆さんに向けて、本書「Looker Studio大全」をおすすめしたい。その理由を著者としてまとめてみました。
その前にLooker Studioって?
あ、Looker Studio(ルッカースタジオと発音します)というのはGoogleが出している無料のBIツールです。BIツール???耳慣れない方もいらっしゃるかもしれません。BIツールというのは、ものすごく端折ると「良い意思決定をするために、手持ちのデータをグラフ化して、状況を素早く適切に理解することを助けてくれるツール」です。
例え話ですが、たとえば一生懸命家計簿をつけている人がいたとします。熱意をもって細かくレシートを集めて記録したとしましょう。その家計簿がデータです。で、その家計簿を一生懸命眺めても、全体像や、どの費目にお金を使っているのか、昨年に比べて支出が大きく増えている費目は何か?といったことは分からないでしょう。直感で「外食費」が増えているように思っていても、実際は「各種のサブスクの費用」が増えているかもしれません。
一方、家計簿のデータをエクセルやGoogleスプレッドシートのような「表」にしてLooker Studioに読み込み、Looker Studioでグラフをすると、あら不思議。費目ごとの支出の傾向や、昨年と比べた時に突出して支出が増えている費目がたちどころに分かります。
そこで、「サブスクの利用状況について、本当に必要か確認する」という合理的な意思決定ができるようになる。という訳です。
そこまで理解していただいたところで、本書「Looker Studio大全」をオススメする理由に進みます。この本はLooker Studioを身につけるための学習書です。

理由1:他にLooker Studioの書籍はない
一つの、自分にとって新しいツールを学ぶのに、「書籍」はもっとも適した媒体だと思います。では、Looker Studioを学ぶための書籍は?と思った時に、本書以前にはないんです。つまり、現時点では本書が唯一の選択肢です。
以下は、「AmazonでLooker Studio 本」で検索した結果を示しています。出版社からリリースされた、本屋さんで買える紙の書籍としては、他の書籍がひかかってこないことが分かります。

理由2:本書はグラフ作成のマニュアルではない
Looker Studioをあえて矮小化して呼ぶとすると「グラフ作成ツール」な訳ですが、本書は決してグラフ作成ツールのマニュアルではありません。そもそも
- なぜデータを「グラフ化」してビジュアルに表現する必要があるのか?
- 表現したいことと、利用するべきグラフの紐づけ
- ダッシュボードとは何か?
- 「使ってもらえるダッシュボード」を作るためのユーザーへのヒアリング事項
- どうやったら親切で使いやすいダッシュボードになるのか?
など、ビジネスや、(先ほどの家計簿の例でも示した通り)広い意味での生活全般における「ベターな意思決定のツールとしてのLooker Studioの利用方法」を解説しています。本書は10の章で構成していますが、章見出しを以下に掲載します。どんな本なのかの断片でもご理解いただければうれしいです。
第1章 Looker Studioの概要とレポート作成のステップ
第2章 グラフ化・ダッシュボード化のメリット
第3章 データ準備と接続
第4章 グラフ作成の基本
第5章 目的別グラフの選択
第6章 「汎用的なグラフ」の作成手順
第7章 「特定目的用グラフ」の作成のコツ
第8章 コントロールの配置
第9章 ダッシュボードの作成と共有
第10章 実践的テクニック
理由3 :全グラフ、全コントロールを網羅して解説している
Looker Studioには、(数え方にもよるのですが)18種類のグラフと、11種類のコントロール(※)があります。それらすべてを網羅して解説しています。(それをもって”大全”を名乗りました。)
(※)「フィルタ」や「期間設定」など、Looker Studioのレポートを利用するユーザー側での操作を可能にする部品
したがって、業務上でLooker Studioを利用するうえでは、基本的には必要なことはすべてを学べると考えていただいて良いです。Looker Studioのグラフには、大きくは、利用頻度の高い「汎用的な」グラフ(折れ線グラフや、棒グラフ、円グラフなど、みんなが知っているチャート)と、特定目的に利用する「特定目的用」のグラフ(サンキー、ウォーターフォール、タイムライン、ファネルなどのチャート)に大別できます。
それらのグラフは、「汎用的」も「単一目的」もすべて網羅して解説していますし、11種類の「コントロール」もすべて網羅しています。
以下は、執筆時点で構成を確認するGoogle Sheetの6章から8章部分です。生々しいですね^^; どんな「執拗な態度」で各グラフやコントロールが網羅しようとしたかを理解していただく一助となれば幸いです。

理由4:効率よく学べるように工夫されている
Looker StudioはGoogleが力を入れて開発しているツールです。どうしてそんなことがわかるのかというと、「仕様追加・仕様強化」がコンスタントに高頻度で発生しているからです。以下が、リリースノートという、仕様追加、仕様強化の一覧を示すページです。見ていただくと、その頻度が高いことが分かります。
https://cloud.google.com/looker-studio/docs/release-notes
その中で、2024年を対象に、重要な機能強化をわたしの主観でまとめています。画像をクリックすると当該の記事にジャンプしますので、気になる方はご覧ください。

そんな力の入ったツールですので、設定項目も多く、機能も盛り沢山なのです。この書籍では、そんなLooker Studioを効率よく学んでいただけるように以下の点を工夫しています。つまり、どれだけの時間を費やせば、どれだけ仕事で使えるようになるのか?という概念を「学習パフォーマンス(学パ)」と言うとします。その学パが高まるように工夫しました。
1つめの工夫としては、(前述の通り)グラフを「汎用的」と「特定目的用」に分類し、どうしても急いで、最低限の範囲を学ぶ必要のある人には「汎用的」なグラフを解説した部分だけを学んでいたくことで最低限業務では使えるようになるようにしています。具体的には、全くの初心者の方でも、太字にした、3章~6章までを呼んでいただくだけでLooker Studioのグラフ作成について、最低限の知識を得て、グラフが作れるようになるように設計しています。
第1章 Looker Studioの概要とレポート作成のステップ
第2章 グラフ化・ダッシュボード化のメリット
第3章 データ準備と接続
第4章 グラフ作成の基本
第5章 目的別グラフの選択
第6章 「汎用的なグラフ」の作成手順
第7章 「特定目的用グラフ」の作成のコツ
第8章 コントロールの配置
第9章 ダッシュボードの作成と共有
第10章 実践的テクニック
2つ目の工夫としては、「共通する内容は共通部分で、各グラフ固有な内容は各グラフの解説で」と思い切って解説する部分を分けたことです。思い通りのグラフをLooker Studioで表現するのための設定項目は、以下の画像の通り、各グラフの「設定」タブと「スタイル」タブにあります。

全てのグラフに存在する設定なので、中には「一度学んでしまえば、グラフが違っても、同じ設定だとわかる」ことがあります。例えば、「グラフタイトル」を表示する設定は、すべてのグラフで同じ操作を行います。そうした場合、本書で同じことを何度も解説しないように工夫しています。
以下は4章のとある図なのですが、多くのグラフに共通する「設定」は4-3で、多くのグラフに共通する「スタイル」は4-4で、それぞれまとめて解説していますよ。ということを説明しています。その上で、各グラフ固有の設定は、グラフ別に、6章、7章で解説するね。という建付けです。

3つめの工夫として、索引を頑張っています。どこまでできたか?というともちろん完璧ではないと思いますが、本書に登場した用語だけではなくて、「Looker StudioのUser Interface(←操作するときに目にする画面)に出てきたこの言葉、なんだろう?」という「検索ニーズ」に対してもできるだけ索引が対応できるように頑張りました。
索引の見出し語は200を超えています。(ちゃんと数えていないですが、225個くらいだと思います。)雰囲気を掴んでいただくため、一部をお見せしますね。

理由5:中上級者にも学びがあるはず
さて、これまでの理由1~理由4は、どちらかというと、Looker Studio初心者の方にメリットがある「理由」だったのですが、本書には中上級者の方にも強くオススメしたいです。というのは、執筆していて、「Looker Stuidoの中上級者でも、このツールのすべてを理解している人はそんなにいないんじゃないか?」と感じました。具体的には以下のようなテーマです。
例えば、「結合」
例えば、「抽出」
例えば、「GAの埋め込み」
例えば、「パラメータ」
例えば、「コミュニティビジュアリゼーション」
などですね。本書では、10章の「実践的テクニック」で上記をすべて解説しています。中上級者の皆さんにも学びはあるのではないかと思っています。
それと、Looker Studioって、「あるメニューをオンにすると、別の設定が出てくる(ので、オンにしない限りは別の設定があることに気づきづらい)」とか「Aの機能とBの機能は同時には使えない(なので、AをオンにしておくとBの機能に気づきづらい)」があるあるなんじゃないかと思います。わたし、この1年あまり、ずーっとLooker Studio触ってましたので、中上級者の方には、そのあたりに気づいていただくきっかけにはなるんじゃないかと思っています。
おまけの理由
おまけの理由として、手前味噌でまったくもって恐縮なんですが、著者(わたし)が、Tableau DesktopというBIツールや、Tableau Prep BuilderやSQLといったデータプレパレーションツールや技術にそれなりに詳しい。というところも本書オススメの理由にはなり得るんじゃないかと思います。
つまり、Looker Stuidioというツール単体を解説した本ではなく、(とくに、どこに書いたということではないのですが)広い意味での、「データドリブンのツールとしてのLooker Studio」という文脈でこのツールを紹介できているのではないかと・・・
「おまけの理由」は、そうあってほしいという願いも込めて・・・
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