わたし、Tableau Desktopについては、著作(やや古いですが^^;)があったり、資格を持ってたりします。で、2025年にはLooker Studioの書籍を出版しました。ので、まぁ、Tableau DesktopとLooker Studioの2つのBIツールについては、専門家(のはしくれ)と言ってもいいんじゃないかと思います。
Tableau Desktop、Looker Studioともに非常に魅力的なプロダクトあり、それぞれ異なる特徴を持っています。プロダクトに詳しくなると、表面的なツールのUI、UXだけではなく、製品の設計思想のようなもの推察できて面白いです。
さて、BIツールと言ったときに、忘れてはいけないもう一つの製品がMicrosoftのPower BIではないでしょうか?
うーん、どんな製品なんだろう、知りたい。。。という訳で学習しました。対外的に知識を証明するために、連休最終日の2025年5月6日には資格試験を受け、無事、Power BI データアナリスト アソシエイト資格を取得することができました。

3つのBIツールに詳しくなったので、その違いについて解説していきたいと思います。本記事は、その第一弾です。
一番大きな違いはデータプレップの位置づけ
Looker Studio、Tableau Desktop、Power BIの3つのBIツールを比較して一番大きな違いがあるように感じたのは、可視化を担当する中核部分のBIツールと、その前段であるデータプレップツールの立ち位置の違いです。
- Looker Studioには専用のデータプレップツールや、データプレップ機能はほぼありません。かろうじて、データ型の変更と、テーブルの結合ができるくらいです。(わたしが想像するに、Googleとしては、「データプレップは他のツール、あるいは究極的にはBigQuery+SQLでやってね」ということなんじゃないかと思います。)
- Tableau Desktopには、ベーシックなデータプレップ機能が内蔵されています。そのため、Tableau Desktop単体で「データ型の変更」、「列の非表示」、「1行目をヘッダーとして利用する」、「ピボット」などを実行することができます。また、計算フィールドで利用できる関数には、Trim(前後のスペースを削除する)や、Split(文字列を任意のデリミタで分割し、分割された値を列として利用できるようにする)など、データプレップに利用できるものがあります。
- それに加え、Tableau Desktopとは別にTableau Prep Builderというデータプレパレーションツールが存在します。Tableau Prep Builderは視覚的にデータプレパレーションを実行できる非常に優れたツールですが、Tableau Desktopの「専属」ではなく汎用的なツールとして位置づけられています。(例えば、生データをTableau Prep BuilderでデータプレップしてCSVファイルで出力すれば、その結果をLooker Studioで可視化する。といったことも普通にできます。)一方、その分、Tableau Desktopとの接続がシームレスではなく、Tableau Desktopでデータプレップした結果を利用するには、Tableau Prep Builerから「出力」した.hyperファイルなどをTableau Desktopから、他の、エクセルやCSVファイルと同じ操作で接続してから可視化を行います。
- Power BIには、Power Query Editorというデータプレップツールが内蔵されており、Power BIとシームレスに接続できます。シームレスすぎて別ツールとは思えず、初心者はかえって混乱するレベルのシームレス度合いです。具体的には、Power BIから「データの変換」ボタンをクリックする(あるいは、データ接続直後、「データの変換」ボタンをクリックする)だけでPower Query Editorが立ち上がり、データプレップ完了後「閉じて適用」ボタンをクリックするだけで、整形されたテーブルをPower BIから利用できるようになります。
Power BIではテーブルの作成が可能
以上のように、3ツールそれぞれ、データプレップツールの位置づけは異なります。これまでデータプレップをSQL、あるいはTableau Prep Builderで実行してきたわたしにとって、Power BIにおけるデータプレップで、一番の新鮮な、良い意味での驚きは「テーブルを作れる」ことでした。
データプレップをしていると、連続した日付のテーブルが欲しくなることはままありますし、チャチャッと予算と実績を比較したくなり、予算のテーブルだけ手作りで作ってみたくなることもあります。また、「こんなテーブルとジョインしたらどんな可視化ができるかな?」と思うこともあります。
そんなとき、テーブルを作れる機能はかなり便利です。しかも、Power BIの場合、テーブルを作る方法は複数用意されています。3つ紹介します。
- Power Query Editorを使う方法
- DAX関数を使う方法
- 手動で手作りする方法
Power Query Editorを使う方法
まずは、内蔵のデータプレパレーションツールである、Power Query Editorを使う方法です。読み込んだテーブルは残したまま複製することができます。複製したテーブルは自由に加工・整形できますので、例えば、「顧客ID別」でグループ化し、受注日をMINで集計することによって顧客ID別の「初回購入日」が記録された2カラムのテーブルを作るようなことができます。そのテーブルを元のテーブルと結合すれば、以下のような、初回購入日別売上(クオーター別)のようなグラフを簡単に作ることができます。

DAX関数を使う方法
DAXとは Data Analysis Expressions の略です。Power BIで新しいカラムや項目を作成するのに利用できる関数体系です。そのDAX関数の中に、テーブルを作成するものがあります。例えば、2023年1月1日から2024年12月31日までの日付けを持つ1カラムのテーブル(テーブル名、DateTable)は以下の関数で簡単に作成できます。
DateTable = CALENDAR(DATE(2023, 1, 1), DATE(2024, 12, 31))
手動で手作りする方法
手動で手作りするには、Power Query Editor(あるいは、Power BIのモデルビュー)から「データの入力」(画像中、水色枠)をクリックします。現れるエクセル状のUI(画像中、オレンジ枠)に手打ち、あるいはエクセルやGoogle Sheetからコピーしてきたセル範囲をペーストするとテーブルが出来上がります。

まとめ
3つのBIツールの違いとして、まずは、本記事で「Power BIは、データプレップの過程でテーブルが作れる」というテーマを取り上げました。この記事のビューが伸びる(=興味を持っている人が多い)ようでしたら、3つのBIツールの違いについて、また、別の記事を書いてみようと思います。
ビジュアルにデータプレップができるTableau Prep Builderについて学習したいという方は、ぜひ、以下の講座をご検討ください。
