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ダッシュボードは死んだか

ダッシュボードは死んだか

告白すると、少しドキッとする問いです。なにしろ私は今日、ダッシュボード作成の本を出したばかりですから。

でも、あえて発売日にこのテーマで書いてみたいと思います。というのも、この問いに自分なりの答えを持っていないと、ダッシュボードの本なんて書けないからです。

生成AIは、確かにグラフを描いてくれる

いまの生成AIは、データにつないであれば「直近30日のユーザーの推移を日別に出して」と言えば、グラフを描いてくれます。「定義した10の指標のうち、直近でおかしな動きのあった指標を抽出して」と言えば、それもやってくれます。

数年前なら、こうした問いに答えるためにこそダッシュボードを作っていました。ところが今は、聞けば出てくる。ダッシュボードを開かなくても、です。

「もうダッシュボード、いらないのでは?」という声が出てくるのは、自然なことだと思います。

でも、「聞いた人だけが知っている」でいいのか

ただ、ここで立ち止まって考えたいことがあります。

生成AIは、聞いた人にしか答えてくれません。

データに敏感な人は、毎朝のようにプロンプトで聞くでしょう。「昨日のアクセスはどうだった?」「自社のビジネスに影響のありそうな動きはある?」と。一方で、そうでない人は聞きません。聞こうと思いつきもしない、というのが実際のところだと思います。

すると何が起きるか。組織の中で、データに敏感な人だけがビジネスの現在地を知っていて、そうでない人は知らない、という状態になります。しかも本人たちは、そのズレに気づきません。

組織の全員が、自分たちのビジネスについて、あるいはWebサイトへのアクセスについて、同時に同じ認識を持つこと。この重要性は、生成AIが出る前と後で、まったく変わっていないと思うんですね。

そして、その共通認識を「個人がAIに聞くかどうか」に任せてしまってはいけない。ここが、今日いちばん言いたかったことです。

ダッシュボードは「組織の共通の景色」

そう考えると、ダッシュボードの役割は、むしろクリアになった気がします。

ダッシュボードは、組織の全員が同じ景色を見るための場所です。誰も何も聞かなくても、開けば同じ数字が、同じ定義で、同じ形で見える。会議の出発点になり、「あれ、この指標おかしくない?」という会話のきっかけになる。

そして、そこで気づいた「おかしい」を深掘りするのは、生成AIの得意分野です。ダッシュボードで組織が同じ問いを持ち、AIで個人が深掘りする。代替ではなく、役割分担ではないでしょうか。Googleの「BigQuery会話分析」への導線がデータポータルの画面から引かれているのもその現れの一環だと思います。

だから、ダッシュボードは死んでいない。むしろ入口としての価値は、はっきりしたと思っています。

おわりに

そんなことを考えながら書いた本が、今日発売になりました。

書籍『いちばんやさしいGoogleデータポータルの教本』の表紙
本日(2026年7月22日)発売の『いちばんやさしいGoogleデータポータルの教本』

『いちばんやさしいGoogleデータポータルの教本 人気講師が教える業務で使えるダッシュボード構築の基本』(インプレス)です。無料のBIツール、Googleデータポータル(旧Looker Studio)で、組織の「共通の景色」を作るための本です。

毎月GA4の数値をExcelに転記してレポートを作っている方に、一度作れば自動で更新され続けるダッシュボードを届けたくて書きました。よろしければ手に取ってみてください。

『いちばんやさしいGoogleデータポータルの教本』(Amazon)