Looker Studioのファネルチャートでスクロール率を可視化してみた

Looker Studioのファネルチャートでスクロール率を可視化してみた

2024年4月25日にタイムラインチャートが登場したときには、「Looker StudioのタイムライングラフでCVユーザーのセッションを可視化してみた」という記事を書きました。それから約半年、2024年9月26日にファネルチャートがローンチされました。グラフ種類は出尽くした感もあり、まあ、今後そうは増えないんじゃないかと思います。

こちらがファネルチャートの公式ヘルプですが、9月28日現在、まだ英語版しかありません。ですが、グラフの設定自体は直感的で難しくはないと思います。それよりは適切にグラフを作成するためのデータ準備の方がどちらかというと手間がかかりそうです。

 

いずれにしても、どのようなデータがあれば、どのようなグラフが描けるのか?について見ていきましょう。」

 

Looker Studioでファネルチャートを描くためのデータ

Looekr Studioでファネルチャートを描くために設定として必須なのは「1つのディメンション」だけです。そのディメンションは、ファネルのステップを区別するものでなければいけません。(以下のスクショではpage_titeleも取得していますが、それはページ別でファネルを描きたかったためです。グラフ描画上は必須ではありません。)指標としては、「数値型のフィールド」があればそれを利用できますが、なければ「行数(Record Count)」でも構いません。本記事では、このサイト(kazkida.com)のページ別のスクロール状況をファネルで描くことにし、BigQueryからSQLで以下のようなデータを取得しました。

 

 

必須の「ステップを区別するフィールド」は、「scroll_depth」として取得しています。このサイトでは、GTMをカスタマイズして、デフォルトの90以外に、25、50、75のスクロール深度も取得しています。結果として、「scroll_depth」フィールドに格納されている値は以下の5種類となっています。

  • scroll-0:page_viewイベントの発生回数(スクロールしたかどうかは問わない)
  • scroll-25:25%スクロールの発生回数
  • scroll-50:50%スクロールの発生回数
  • scroll-75:75%スクロールの発生回数
  • scroll-90:90%スクロールの発生回数

 

指標は「行数(Record Count)」を利用することにし、あえて取得していません。

 

Looker Studioのファネルチャート

ディメンションに「scroll_depth」、指標に「Record Count」を指定し、クロスフィルタリングの機能を利用してページを絞り込んだファネルチャートは以下の通りです。結構いい感じですね。

 

3種類のファネルの形状

また、「スタイル」タブの設定で形状を3種類から選んで指定することができます。以下の図は左から、「平滑バー」、「ステップバー」、「逆三角形」です。まあ、「平滑バー」でいいでしょう。もしくは、ステップ転換率を目分量でもいいから分かりたいという場合には、バーが長方形でできている真ん中の「ステップバー」を使っても良いかもしれません。

 

データラベルは「全体に対する割合」と「ステップ転換率」を選択できる

データラベルについては、「割合」を選ぶと、「最大値に対する割合(%)」と「以前の値に対する割合(%)」のどちらかを選べます。以下の図では、左図が「最大値に対する割合(%)」です。ページビューに対して9%程度しか90%スクロールを完了していないことが分かりました。また、右図は「以前の値に対する割合(%)」を指定した状態です。「以前の値???」名前はイケてませんが、見ての通りデータラベルはステップ転換率を示しています。ファネルの形だけを見ていると分かりませんでしたが、最もフォールアウト率が高いのが、scroll-75から、scroll-90の間だということが分かりました。なかなか有用です。

 

まとめ

Looker Studioではいい感じにファネルチャートを描くことができる。ということはご理解いただけたのではないかと思います。また、その肝がデータの前準備だということも伝わったかと思います。2024年8月20日に「無料Looker Studioを有料BI並にパワフルにするSQLの魔法」というタイトルでセミナー登壇したのですが、Looker Stuidoは本当にSQLと相性がいいですね。Looker Studio上級者になるには、SQLのスキルが必須な気がします。

 

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