私は、2004年にWeb解析業界に入り、以来ずっと同じ業界にいます。なので、キャリア的には19年が経過したことになります。19年というと相当に長い時間ですので、それなりに、いろいろなことを学んできました。もしかすると、Web解析をキャリアにしたいという若い人や学生の方にとっては、Web解析をキャリアにするために、何を学ぶべきか?という点で、わたしが学んできたことが参考になるかもしれません。(これらを学ばなければWeb解析ができない。とか、Web解析でのキャリアが成功できないということでは全くありません。とある人の一例として捉えていただければ)
なので、いくつか思いつくままに、これまで学んできたことを列挙してみます。順序は学んだ順番ではなく、おおよそ、データ取得から、分析、お客様へのアウトプットのような順番にしています。
エンジニアではないので、技術的な内容については広く、浅く・・・ですし、それ以外の「学んだこと」の中にも浅くしか学んでいないものも含まれてます^^;
これまでに学んできたこと
- インターネットの仕組み(プロトコルとか、IPアドレスとか、DNSとか、)
- サーバー(≒動的ウェブページ)の仕組み(データベースとの連携とか、クエリパラメータの役割とか、GETとPOSTの違いとか、リダイレクトとか)
- Webページ(≒HTML)が表示される仕組みとタグ(Homepageビルダー<遠い目>でサイトを作成したりしました。その後、PHPとMySQLをローカル環境に立てて動的にページを表示させたりしました。)
- ブラウザについての基礎(Cookieとか、キャッシュとか、ユーザーエージェントとか)
- タグマネジメントの基礎(そもそもタグマネが登場する前のタグ直貼りの時代<遠い目>もあったねぇ。GTMでは、タグ、変数、トリガーとか、プレビューモードとか)
- 検索エンジンの仕組みの基礎(クローリングとか、インデックスとか、メタタグとか、robots.txtとか、被リンクとリンクジュース<遠い目>とか、共起語とか、YMYLとか、)
- リスティング広告の基礎(インプレッション、クリック、CTR、CPC、などの用語や、想定CTR、品質スコア、広告ランクなどの広告の表示位置や入札価格決定のしくみ。CPA=CPC*CVRなど指標間の関係性とか)
- A/Bテストの基礎(ABテストとか多変量テストとか、評価方法とか、実装方法の基礎とか)
- Google アナリティクス(ディメンション別のメジャー、カスタムディメンション、カスタムレポート、フィルタ、セッション、直帰率、コンバージョン率、セグメントなどなど。学んだことをもとに本を3冊だしたよ。)
- パーチェスファネル(AIDMAとか、AISASとか)
- ペルソナとか、カスタマージャーニーの概念
- ビジネスフレームワーク(3C、4P、SWOT、5フォース、PEST、STPとか)
- 分析の基礎(PPDACサイクルとか、仮説と検証とか、訴えたいことと利用するべきグラフの紐づけだとか、平均値が必ずしも適切な代表値ではないことだとか)
- ロジカルシンキング(演繹法、機能法、MECE、フェルミ推定、ロジックツリーとか)
- Tableau Desktop(ディメンションとメジャー、フィルタ、フィルタパイプライン、表計算、LOD計算、ダッシュボードなどなど。学んだことをもとに本を出したよ)
- Looker Studio(旧データポータル。スコアカードとか、期間比較とか、クロスフィルタリングとか。)
- Tableau Prep(データプレパレーションの基礎、ユニオン、ジョイン、グループ化などなど)
- SQL(基本的な構文、グループ化、サブクエリ、WITH句、集合計算、分析関数などなど。学んだことをもとに本を出したよ。)
- プログラム言語(JavaScript<ほんの少し>、Python<少し>、R<少し>)
- 正規表現(^とか$とか、.とか、\dとか、\wとか\sとか、+とか*とか、?とか)
- ビジネスメトリックス(KGIとか、KPIとか、LTV、生存率、チャーンレートとか、RFMとか)
- 統計学(記述統計と推測統計の違いとか、分散とか、標準偏差とか、標準誤差とか、信頼区間とか。統計検定2級受かったよ)
- 機械学習(特徴量、特徴量ハンドリング、アルゴリズム、アンサンブル、ROC、混同行列、第一種の過誤、第二種の過誤などなど)
- AI(ディープラーニングの基礎とか。G検定受かったよ)
- プレゼンテーションや文章作成(プレゼンについては、「コンサル系のパワポ作成術」みたいな講座、文章力については、天狼院のライティングゼミを受けてみました。)
もし、今、Web解析を始めるなら
リストが長くて、退屈になってしまったかもしれませんが、今日、このブログ記事で言いたいことは、そのようにたくさんのことを学んできたのだけれど、もし、私が、これからWeb解析を始めるなら、何から学ぶべきだと思っているか?についてです。というのは、仮に25個も学ぶことがあるのであれば、全部同時に・・・は無理です。いくつかの学びは平行して行えるにしても、やはり、ここから学んだ方がいいよ。というのがあってしかるべし、だし、実際に、キャリア19年の今だから言える、ここから学ぶのがいいよ。と思っているものはあります。それは、多少なりともこの生地の読者の人の参考になるのではないかな?
で、結論は、「分析の基礎」です。(上記のリストでは13番)
Web解析をはじめるとき、どうしても、Google アナリティクスの学習から始めてしまいそうですし、私も実際、それに近い順番で学習を開始したのですが、そもそもなぜWeb解析をするのか?というと、問題解決のため。です。決して”正しい”数値の取得のためではありません。そもそも、Cookieを拒否するユーザー、(少ないかもしれないけれど)パケットロス、(僅かかもしれないけれど)JavaScriptの動作の遅さによる)欠測値の発生、複数デバイスの利用によるユーザーの重複カウントなどを考えると、今日のユニークユーザーが何人だったか?のような簡単な問いでさえ、神様だけが知っている”正しい”数値を、Google アナリティクスで取得できることなんてないんです。
しかし、Google アナリティクスは、”正しい”数値ではなくても、問題解決の方向性を間違わないだけの精度をもった数値は出せる訳です。ですので、「Web解析の目的は問題解決だ」とわかっていれば、幻のような”数値としての正しさ”にこだわることなく、”問題解決の方向性”にこだわることができるのではないでしょうか?そうした本来の目的を忘れないためにも、分析の基礎から学習を始めるのが理にかなっているのではないかと思います。
分析の基礎で、最初に学ぶのはPPDACサイクル
「分析の基礎」の学習で最初に学ぶのは、PPDACサイクルです。このサイクルは以下で構成されています。Web解析を含め、あらゆる解析(=分析)は問題解決のためにあるんだ。ことがわかりますね。
- Problem = 問題が何かを定義する
- Plan = どのようなデータを集め、どのように分析し、誰が、どう行動すれば問題が解決できそうかを計画する
- Data = データを収集する
- Analysis = 収集したデータを分析する
- Conclusion = 結論を出す
Google アナリティクスは、上記のサイクルのDとAを担当するツールであって、その「前」に、本当はPPがあるべきなんだよ。ということを教えてくれますね。Google アナリティクスが導入済みであっても「私がGoogle アナリティクスで解決したい問題って何だろう?」を考えることは意味がありますし、それが定まれば、次に「その問題を解決するには、今取得しているデータで良いのだろうか?」や「データをもとに誰が行動を起こすべきなんだっけ?」と考えを広げれば、後付けではありますが、「データを行動に変え、問題を解決する」ことに近づくことができます。
宣伝
分析の基礎なんて、どこで学べばいいんだよ。というあなた、良い講座がありますよ。