DXで失敗しないコツ – 「右からのDX」のススメ

DXで失敗しないコツ – 「右からのDX」のススメ

友達の白井恵里さん(メンバーズ・データアドベンチャーカンパニー 社長)が、MarkeZine Dayで『使い道を決めず「とりあえず」データを蓄積していませんか?という問題提起をされています。大いに賛同します。そこで、同じテーマで私の考えを述べておきたい。というのがこのブログ記事の趣旨です。ちなみに、メンバーズさんと、私が取締役をする株式会社プリンシプルは2017年11月から業務提携をしている関係性です。

 

さて、生成AIが出現し、2026年2月現在、私の周りの「人気キーワード」は「生成AI活用」一辺倒になって来ています。その分、 Ditigal Transformation(DX)は忘れられた存在になりかかっています。Googleトレンドの趨勢も、それを物語っています。

 

Googleトレンドにおける「デジタルトランスフォーメーション」の推移。2021年ころをピークに減少している。

 

しかし、AI利活用は、広い意味でのDXに含まれているので、いまだ、DXの有用性、DXを利用して業務を変革し、リターンを得ていくことの重要性は減っていないものと思います。

 

そしてDXの失敗例としてよくあるのが、冒頭にもあった「使い道を決めず、闇雲のデータを集めること」、そしてそうした行動の背景として「データさえ集めればなんとかなるのではないか?」といった考え方です。それに対し、私が、高い確率で成功するDXは、「右からのDX」ではないかと考えています。「右からのDX」は私の造語ですが、DX成功の鍵を端的にあらわしていますので、お付き合いください。

 

この記事のサマリー

この記事のサマリーは以下です。

  • DXは、全体の流れとしては、データを収集、統合することで、各部署が合理的で素早い意思決定、ひいては合理的な行動ができるように業務を変革することで成功する
  • データの流れは左(データの収集)→真ん中(統合)→右(ダッシュボード化と活用)という流れで進んでいく。
  • しかし、データの流れが左から右だとしても、DX全体の設計は左から右に行う必要がある。
  • その場合、もっとも右に位置するのが、業務変革によって利益を受ける「受益者」である。
  • この「受益者」が誰で、どの部署が、どのデータを使って、どのように業務を変革するのかを設計する必要がある。
  • その設計ができれば、「データは集めたけれど、リターンがない」という自体は回避可能。さらに、業務変革にはどのようなダッシュボードが必要で、そのダッシュボードにはどんなデータが必要で、、、と遡ることで、無駄のないデータの流れも実現できる

 

 

「右からのDX」の出典

出典は少々古くて、2020年12月3日に実施した株式会社プリンシプル主催の以下のセミナーです。木田がお話しました。白井さんのMarkeZine Dayの講演記事を拝読すると、私がそのセミナーでお話した約3年前から、DX文脈でのデータ収集について、まだ「失敗を避ける方法論」が確立してないのかな?と思った次第です。もし、そうだとすると(少々古いスライドを出典としている)このブログ記事も多少だれかのお役に立つこともあるのかな。

 

「右からのDX」は2020年12月のセミナーで、木田和廣が提唱したDXの進め方に対する概念。本画像はそのセミナーのトップスライド。

 

左からのDXとは?

右からのDXの説明の前に、まず、「左からのDX」について説明します。この「左からのDX」が白井さんの講演でも「データの取得し直しが頻発する」とされているDXの進め方ではないかと思います。

DXの大きな流れを説明する図。左側に散在しているデータ、真ん中にそれらが統合されたCDP、右側に、CDPデータをダッシュボードにして利用する各部署が配置されている。

 

データを集約して、結合できるようにCDPに集約し、それをデータソースとしてダッシュボードを利用して、各部署で施策立案や効果検証に利用する・・・そういう流れです。

つまり、左から始めています。

 

一つ前のスライドに、左から右に向かう大きな矢印を提示し、DXをデータの流れに沿って、左から(データを集める側から)始めてしまうことを示唆している。

 

この方法で進めた場合、一番右に位置している、データを活用してDXの成果を現実のものにするべき営業、マーケ、サポートの人が、ダッシュボードを前にして「で、どうすんだったっけ?」となりがちです。

これが「右からのDX」

一方、「右からのDX」として私が提唱しているのは、以下の模式図で表せます。

 

一方、成功するDXとは、逆に、右側に受益者を想定する。受益者とは業務の変革によって、より高い付加価値を受け取る顧客や、コスト削減の恩恵に授かる自社のことである。

 

少し詳しく述べますね。この方法論では、まず、受益者を想定します。例えば、

 

営業が●●をすると、不採算案件にリソースを割いてしまう可能性が大きく減る

とか、

マーケが●●をすると、メールマガジンの解約率が下がり、お客様とのエンゲージメントが高まる

とか、

カスタマーサポートが●●すると、コールセンターへのクレームの電話が激減する

 

などです。上記はわかりやすさを優先して、受益者を社内の部署を主語にして記述しましたが、本質的にはその先のお客さまに「益」が還元される受益者設定が望ましいです。お客様が受益者となる有名な事例としては、建設機械のデータを取得して故障の予知を行い、故障する前に部品を交換することにより、リースされた建設機械の「故障による突然の稼働不能」を防止したり、ガス器具について、お客様が使っている機器の型番と訴える不具合の状況から故障箇所と原因の予測を行い、必要な交換パーツを持ってお客様のところに行くことで「即日(その場で)修理可能な確率」を高めたりといった例があります。

 

受益者が決まれば、その「益」を発生するためには、業務をどう変えれば良いのか?を考え、設計する。

 

それが終われば、ではその「再設計された業務」を効率をよく行うにはどのようなデータを、誰が、どんな形で、どんな頻度で見る必要があるのか?を考えて、ダッシュボードを設計する。

 

それができたら、ではそのダッシュボードを成立させるデータはどんなものかを精査し、必要あれば、CDPにまとめる。元データがなければデータを収集する。

 

そんな進め方です。「左からのDX」に比べると明らかですが、右から左にプロセスが進んでいることが分かります。

また、右からのDXは、「益」をまず定義することから、「リターンドリブンDX」とも呼べるでしょう。「益」に駆動されたDXです。これなら、理屈上は「で、どうする?」とはならないのです。

相談してみたい


もし、相談してみたいと思った方は、(このブログは木田の個人オウンドメディアですので)株式会社プリンシプルのお問い合わせフォームからお問い合わせをいただけると嬉しいです。その際、「右からのDXについて知りたい」などとおっしゃっていただけるとスムーズかと思います。

いや、木田さんやプリンシプルさんじゃなくて、白井さんに相談したいよ、という場合もあるでしょう。そんな場合には、白井さんがカンパニー社長をしているメンバーズ・データアドベンチャーカンパニーのウェブサイトはこちらです。(^^)/