プロダクトアナリティクスツールとしてのGA4(前編)

プロダクトアナリティクスツールとしてのGA4(前編)

先日、X(旧Twitter)で、同業諸賢とのやりとりの中で、わたしは以下のようなつぶやきをしました。

 

字数制限もあって、

  • プロダクトアナリティクスってなにか?
  • GA4のどこがプロダクトアナリティクスツール的なのか?
  • GA4をプロダクトアナリティクスのツールと思って利用する方法

などについては十分書けていません。Xに課金してないから長文書けないっていうのと、そもそもテーマ的にXに書きなぐるものでもないですし・・・

そこで、本ブログ記事でそのあたりについて、私の思うところを書いてみます。GA4がどういうツールなのか?についての認識を少し変えれば、苦手意識が払拭できる皆さんも多少はいらっしゃるんじゃないかと思います。

プロダクトアナリティクスとはなにか?

プロダクトアナリティクスとはなにか?についてChatGPTに聞いてみました。すると、驚くほど的確なお返事が来てビビりました。

 

もう、補足する必要ないじゃん^^; しかも、GAがプロダクトアナリティクスのツールだと認定しています。

しかし、ちゃんと読み込むと、上記でプロダクトアナリティクスの目的されているものは、目的と手段に分けて考えることもできると思いました。ChatGPTのお返事を受けて、私なりに文章で表現すると、プロダクトアナリティクスは以下の通りに定義できると思います。

ユーザーエンゲージメントの測定を通じて、1) マーケティングの最適化と、2) 適切な製品開発を行い、顧客満足度を高めることによってユーザーをリテンションするための分析

きれいにまとまりました。(^^)

架空のプロダクトアナリティクス、ストーリー

上記の定義に「実感」をもたせるため、架空のプロダクトアナリティクスをストーリーでお届けします。かなりベタな分、世界観は伝わるのではないでしょうか?

ここで登場するのは以下の架空の「画像加工アプリ」です。

このアプリには3種類の機能(色のフィルタ、回転、テキスト載せ)があります。初回利用日から1週間は無料期間です。その期間中はすべての機能を制限なく利用できます。その後はサブスクで課金すれば全機能が使えるようになります。

どのような機能がユーザーに喜ばれているか(=価値として受け止めてもらっているか)を確認するため、ユーザーを、以下の8種類に分けて、それぞれのグループ(=コホート)の課金率を分析しました。課金率の定義は、課金して使ってくれたユーザー数÷該当のコホートに属するユーザー数です。本来はLTV(Life Time Value、生涯顧客価値)で判断したいところですが、まだ、アプリをローンチして間もないため、十分なデータが蓄積されていません。そこで、課金率を採用しています。

  1. 無料期間中にトップスクリーンや利用方法の画面を見ただけで機能は使っていないユーザー
  2. 無料期間中に「色のフィルタ」だけ使ったユーザー
  3. 無料期間中に「回転」だけ使ったユーザー
  4. 無料期間中に「テキスト載せ」だけ使ったユーザー
  5. 無料期間中に「色のフィルタ」と「回転」を使ったユーザー
  6. 無料期間中に「色のフィルタ」と「テキスト載せ」を使ったユーザー
  7. 無料期間中に「回転」と「テキスト載せ」を使ったユーザー
  8. 無料期間中にに3つの機能全部を使ったユーザー

 

すると、8が一番高く、次が、7、4、6、5、4、3、2、1の順でした。どうも「テキスト載せ」の機能を使ったユーザーの課金率が高いようです。念のため、生データをダウンロードし、クレンジングした上で機械学習で変数重要度分析をすると、「テキスト載せ」の利用が「課金率」に最も影響を与えていることが分かりました。

 

さらに分析を進め、「テキスト載せ」を行った元の画像をAIで「風景」、「食べ物」、「ペット」、「人物」、「その他」に分類し、どの画像にテキスト載せを行ったユーザーの課金率が高いかを分析してみました。その際、ユーザーが登録してくれた、年齢と性別のデータとも結合しててみました。

 

すると、20代女性で、ペットの画像にテキスト載せをしたユーザーの課金率が特筆して長いことが分かりました。該当するユーザーにインタビューをしたところ、画像上のペットが話している体で吹き出しとしてテキスト載せをし、SNSに投稿する。という使い方をしていることが分かりました。確かに課金して利用してくれているユーザーが初回訪問したときの「参照元/メディア」を分析すると、petslovelove.comというサイト上の「ペットを可愛くSNS投稿するならこのアプリ!」特集のページからが多いようです。

 

以上の結果を受けて、機能開発は「テキスト載せ」に利用できるフォントと吹き出しの形のバリエーションを増やすことを最優先にした。また、マーケティングは「20代女性」、「ペット好き」、「SNS積極利用」にあてはまるユーザーをターゲティングするよう修正した。

 

如何でしょうか?なんとなく、プロダクトアナリティクスについてのイメージが掴めたのではないでしょうか?Web解析とは全く無関係ではないですが、それでも随分と世界観が異なることも理解して頂けたかと思います。

 

中編では、本ブログ記事を受けて、GA4のどこが「プロダクトアナリティクスツール」的なのか、後編では、GA4がプロダクトアナリティクスツールだとするとどのように利用したら良いのか?について、論を進めていきます。