a2iのコラムを寄稿しました

a2iのコラムを寄稿しました

a2i(アナリティクスアソシエーション)の2023年10月25日のコラムに寄稿しました。許可を頂き、オウンドメディアにも掲載いたします。オリジナルを確認したいとき、他の方のコラムも読みたいときはa2iのサイト(コラムのバックナンバー一覧)に移動してください。

「木田さんのコラムはリアルタイムでもう読んだよ」という方も、裏話やオマケコンテンツがありますので、是非、スクロールをしてください。

 

a2iに寄稿したコラム

 

サバティカル休暇から考える:AI時代のキャリア再考

私事で恐縮ですが、私は2022年10月1日から1年間、仕事から完全に離れていました。
メンタルも、フィジカルも問題なく、ただただ目的を決めない長期の休暇、いわゆるサバティカル休暇を取得したという訳です。

この記事では、1年間仕事の最前線から離れ、比較的時間のあるなかでWeb解析界隈を見ていて考えたことを皆さんと共有したいと思います。
私の休職中起きた一番の大きな出来事は、間違いなくChat GPTの登場でしょう。

Chat GPTをしばらく触ってみて感じたのは、私のスキル(*)が急速にコモディティ化し、仕事がなくなるのではないか?つまり、Chat GPTは私のキャリアの終わりの始まりを告げているのではないか?という恐怖です。

私のスキル
1) Tableau Prepや、SQLによるデータプレパレーション
2) Tableauによるデータの可視化
3) GA4によるWeb解析

そんな大げさな!と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、上述の3つのスキルのうち、データプレパレーションとデータの可視化については、有料版のChat GPT 4を利用すれば、すでに次のようなことをしてくれます。

1) <データプレパレーション> スキーマ(=列構成)を明示すれば、プロンプト(=文章)による指示でSQL文を書いてくれます
2) <データの可視化> データを含んだファイルをアップロードすれば、プロンプト(=文章)による指示でグラフを描いてくれます

今は、ほしい結果を得るためには、何回かの試行錯誤やプロンプトエンジニアリング(=指示する文章の最適化)が必要ですが、それでも、Chat GPTがデータプレパレーションやデータの可視化のスキルを陳腐化する圧力となることは間違いないでしょう。

私のスキルのうち、残るWeb解析については、Chat GPTはまだ、データの可視化やプレパレーションほどには強い「陳腐化力」は持っていないようです。データの可視化やプレパレーションに比べると、Web解析は方法論が多様だったり、サイトごとに最適解が違ったり、改善のために投入できるリソースが規定する現実解が異なったりするのがその理由だと思います。

しかし、それも時間の問題かもしれません。というのは、デジタルの世界はときに指数関数的に成長します。きっとChat GPTに代表される生成AIもそうでしょう。例えば半年後、今のChat GPTの2倍の、あるいは10倍の性能を持つ生成AIが出てきてもおかしくないのです。そのときその生成AIがWeb解析における私のスキルを陳腐化させる能力を持っていても不思議はないと思います。

少し取り越し苦労気味な認識かもしれませんが、備えておいて損はないのも間違いないでしょう。

では、どんな備えをすれば良いのか?

一つの方向性として、ある技術や分野についての「メタな認知」を持てるようになっておくのが大事なのではないかと思います。つまり、

・SQLは書けないとしても、SQLを書くとできることを知っておく
・Tableauは操作できないとしても、ビジュアル分析のベストプラクティスは知っておく
・Googleアナリティクスは分からないとしても、コンバージョンを増やす方法論は知っておく

といった方向性です。

いずれにしても、今後はどのようなスキルが生成AIに陳腐化されやすいのかを考えながら、仮に自分のスキルが陳腐化されてしまったときにもお客様や自社に対して価値が提供できるスキルは何かを模索し、磨く必要がある。

そんなやっかいな時代が来たな。と思ったのでした。

 

裏話

a2iのコラム担当の方に、最初コラム本文だけを提出しました。すると、担当の方から「タイトルを付けてください」というお題を頂きました。そこで、原稿をChatGPTに流し込んで、聞いてみました。どんなタイトルがいいかな?

すると、教えてくれたのが以下です。
どうでしょう?なかなかいいですね。十分に実用レベルです。そっくりそのままは採用しませんでしたが、1番のアイデアを拝借し、少しだけ修正して本番のタイトルとしました。^^;

 

コラムで言ってないこと

上記に掲載したコラムは、それ自体一つのコンテンツとして完結していると思うのですが、ボリュームの観点と、論旨がぼやける懸念から、「言っていないこと」があります。それは、実は「メタな認識」を得るには、それを触るのが一番有効だ。ということです。

つまり、上記のコラムでは、例えば、以下の状態になるのが重要だと言っています。

・SQLは書けないとしても、SQLを書くとできることを知っておく

しかし、ものすごく逆説的ではありますが、上記の状態になるためには、「SQLを書くとできること」を勉強するのではなく、SQLを書いてみる。のがベストなんじゃないかと思いますなので、今SQLを、Tableauを、GA4を勉強している人は、コラムに書いたような「メタな認知」を獲得することを目標にしたり、視野に入れたりしながら、今やっている勉強は続けたほうが良い。そう思います。