GA4の計算指標を利用して「スクロール完了率」を可視化する方法

GA4の計算指標を利用して「スクロール完了率」を可視化する方法

いやー、長かった。11月30日、やっと、このサイトを計測しているGA4のプロパティに「計算指標」がやってきました。計算指標の機能追加が発表されたのが2023年10月17日ですから40日以上かかったことになります。

せっかくやってきたので、計算指標を利用してスクロール完了率を可視化する方法を記事にします。初心者向けの記事ですが、既存では存在しない指標を計算指標を作成して利用できるようにする。という例として多くの人にお役立て頂けるのではないかと思います。また、記事の本文を読んでいただくと分かるのですが、実は、いきなり計算指標は作れず、イベントの変更、カスタム指標の登録なども必要になるので、ちょうど、それらの機能の利用例としても参考にして頂けるかと思います。

では、やっていきましょう。

全体の流れ

全体の流れは以下の通りです。

  1. イベントの変更を利用して、scrollイベントにパラメータを追加する。パラメータ名は(なんでもいいのですが、この記事では、scroll_compとしています。)
  2. 1で作ったパラメータ scroll_compを対象として、カスタム指標を作成します。(混乱させて申し訳ないですが、このカスタム指標の名前も scroll_compとしています。)このカスタム指標がスクロール数を表します。
  3. 計算指標の機能で、2で作ったカスタム指標の scroll_compを、既存の指標「表示回数」で割って「スクロール完了率」を求めます。この記事では、そうして作成したスクロール完了率を、 scroll_comp_rate という名前としました。
  4. 作成したscroll_comp_rateという指標は標準レポートでも、探索レポートでも利用できるようになります。

手順1:イベントの変更を利用してscrollイベントにパラメータを追加する

最初に行う作業は、「イベントの変更」機能を利用して、既存のscrollイベントにパラメータを追加することです。管理画面(左下の歯車マーククリック)から、プロパティ設定 > データの表示 > イベント に進み、青い「イベントを変更」ボタンをクリックして、以下の設定を行います。

 

赤枠が条件、水色枠が条件が合致した場合の処理になっています。読み解くと、event_nameがscrollで、かつ、percent_scrolledパラメータの値が90であるとき、、、というのが条件です。2番目のpercent_scrolled の条件は多くの場合必要ないのですが、わたしのプロパティでは、90以外の値も取得しているので、必要です。皆さんの場合も、90以外の値を追加的に取得している、あるいは今後取得することもあると思いますので、安全のため、上記の通りに設定するのが望ましいと思います。

 

水色の枠の処理としては、新しいパラメータとして、名前: scroll_comp 、値:1 を追加しています。パラメータは、名前と値が対になっている(キーバリューペアで表現される)ことを理解していると、この設定がスムーズに理解できると思います。結果、 percent_scrolled パラメータの値が90であるscrollイベントに以下の通り、 scroll_comp パラメータ(値は1)が追加されます。

 

手順2:スクロール数をカスタム指標として取得する

次に、パラメータ scroll_comp の「値」を利用して、スクロール数を取得するカスタム指標を作成します。値が必ず1なので、その合計がスクロール数となります。プロパティ設定 > データの表示 > カスタム定義 > カスタム指標と進んで、「カスタム指標を作成」の青いボタンをクリックして以下の通りに設定します。

 

特に難しくないですね。カスタム指標は、パラメータの名前を指定すると、そのその値の合計が「指標」として利用できるようになる。という仕様です。

 

手順3:計算指標の作成

最後に(ついに)計算指標を作成します。管理画面 > プロパティ設定 > データの表示 > カスタム定義 から、計算指標に入り、青の「計算指標を作成」ボタンをクリックして、以下を作成します。名前は自由ですが、以下では、 scroll_comp_rate としています。また、説明部分は空白のままでも大丈夫です。(が、書いておいたほうが何かと便利です。)

 

作成した計算指標を利用する

上記の通りに作成した計算指標は、手順2のカスタム指標を作成した日以降まで遡って利用できます。つまり、カスタム指標を1月1日に作成すれば、計算指標を作成したのが2月1日であっても、1月1日以降であれば利用できます。この記事で作成した計算指標 scroll_comp_rateを使ったレポートは以下の通りです。

 

標準レポート(ライブラリ機能でカスタマイズ)では、こんな感じ

  

探索レポート(自由形式)だとこんな感じ。標準レポートも、探索配下のレポートも計算がバッチリ合ってますね。

 

宣伝

計算指標を使う準備として説明した、「イベントの変更」や、「カスタム指標」をちゃんと学びたい?よい本と、良い動画講座がありますよ。

書籍だとこちら。イベントの変更(ワザ096)も、カスタム指標(ワザ103)もカバーしています。

 

動画講座(Udemy)だとこちら。スライド枚数238枚、尺が5.5時間です。イベントの変更(レクチャー03.5)も、カスタム指標(レクチャー4.4)もカバーしています。