GA4のCV設定は「たった1イベント」が正解

GA4のCV設定は「たった1イベント」が正解

自分の見ているGoogle アナリティクスに出てきた日はアカウントによって異なりますが、2022年7月末ころ、GA4に2つの指標が追加されました。多くのユーザーが待ち望んでいた指標ではないかと思います。私は、比較的待ち望んでいました。

  • セッションのコンバージョン率
  • ユーザー コンバージョン率

上記の2つの指標の生成される仕様を考えると、

GA4では、コンバージョン設定はたった1つのイベントだけにする

のがGA4のレポートを使いやすく保つ上で正解ではないか。というのがこのブログ記事の趣旨です。

それはなぜか、まずは、コンバージョンのカウント方法からおさらいしましょう。

UA、GA4のコンバージョンのカウント方法

ユニバーサルアナリティクスが「コンバージョンとして登録していたページビューなり、イベントなりの発生したセッションの数」をカウントしていたのと違い、GA4は、「コンバージョンとして設定したイベントの発生回数」をレポートで表示します。

したがって、以下の赤の枠がコンバージョン設定したユーザー行動だとすると、ユニバーサルアナリティクスでは「2」、」GA4では「3」とカウントされます。

GA4でのコンバージョン率計算の仕様

では、GA4は、上記のコンバージョン数、そして、それをもたらした、ユーザー、セッションを勘案すると、どのようにコンバージョン率を計算してくれるのでしょうか?手元データで検証したところ、以下の通りでした。

セッションのコンバージョン率コンバージョンの起きたセッションの数 ÷ 全セッション
ユーザー コンバージョン率コンバージョンを発生させたユニークユーザーの数 ÷ ユーザー数

心密かに、「分子は、まさか、コンバージョンイベントの発生回数ではないよな?」と心配していたのですが、それは杞憂に終わり、適切に計算されていました。

以下が、検証結果です。GA4の2つのコンバージョン率をBigQuery上のデータでロジックが分かる形で取得し、突合しています。このプロパティは、コンバージョンイベントとして、たったひとつだけを登録しています。

複数イベントをCV設定していると問題

一方、一つのプロパティで複数のイベント、仮にイベントAとイベントBを登録しているとします。すると、

セッションのコンバージョン率は、イベントAあるいはイベントBの発生したセッション数が分子に、ユーザー コンバージョン率は、イベントAあるいはイベントBを発生させたユーザー数が分子になり、特定のコンバージョンイベントにたいするコンバージョン率はわからなくなります。つまり、使いものにならなくなります。

であれば、思い切って、コンバージョン設定するイベントは一つが良いのではないか。という本ブログの趣旨となるわけです。

しかし、別のイベントもCVRを取得したい

しかし、別のイベントの(マイクロコンバージョンとして)コンバージョン率を取得したい。という要望もあるでしょう。ユニバーサルアナリティクスでは一つのビューに複数の目標設定をするのがベストプラクティスでしたので、無理もない要望です。

その場合、探索配下の自由形式で以下のような単純がレポートを作成すると、手計算ではありますが、それほど面倒でもなく、特定イベントのセッションのコンバージョン率、ユーザー コンバージョン率を取得することができます。

例えば、9行目の「experiment_impression」というイベントがマイクロコンバージョンに相当するイベントだとして、そのイベントの発生したセッションは29,969、そのイベントを発生させた総ユーザーは24,285と分かりますし、分母となる全セッションは106,131、総ユーザー数は92,172とわかります。

それらを単純に、電卓やエクセルで割れば・・・

  • experiment_impressionイベントのセッションのコンバージョン率 = 28.2% = 29,969÷106,131
  • experiment_impressionイベントのユーザー コンバージョン率 = 26.3% = 24,285÷92,172

と求められます。ですので、コンバージョンイベントだけを(GTM経由や、イベント作成等の機能を使って)作っておけば、コンバージョン率は後から取得できます。

であれば、本当に見たいコンバージョン率だけは、GA4で直接確認できるよう、コンバージョンは唯一つを登録しておく。それ以外のイベントのコンバージョン率は手計算が入ってもしかたがないと割り切る。のが良い。と考えました。

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この記事のコアな部分の一つが「検証」にあります。BigQueryにデータをエクスポートしている方は、SQLが書けると自身で検証ができます。検証を通じてGA4の仕様がより正確に理解できるようになり、どのような場合に、どの指標を使うのが妥当か。という点でもセンスが磨かれてくると思います。

この機会にSQLを勉強したいという方はぜひ、こちらで勉強してみてください。

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