Looker Studioにサンキーチャートが来たのでGA4のデータで可視化してみた

Looker Studioにサンキーチャートが来たのでGA4のデータで可視化してみた

4月中旬、ふらふらとTwitterを見ていると、外国の方が「Looker Studioにサンキーチャート来る!」とツイートしているのを発見しました。公式ヘルプはこちらです。本記事執筆時点で

https://support.google.com/looker-studio/answer/13412211?hl=ja

サンキーチャート(サンキーダイアグラムとも呼ばれるます)はGA4の「経路データ探索」で使われているのと同じチャート表現です。公式ヘルプに掲載されている「作例」は、以下の通りに非常にシンプルでした。なので、GA4の実データでどんな可視化が可能か、トライしてみました。やりたいことは、ランディングページからのページ遷移(セッション単位)の可視化です。

公式ヘルプに掲載されている作例

 

GA4のデータをもとにLooker Studioでサンキーチャートを描くためのデータ接続

Looker Studioには、GA4に対するネイティブコネクターが用意されており、Data API経由でのデータ接続が可能です。が、サンキーチャートを描くために必要なデータの構造をネイティブコネクター経由では実現できないので、ここはBigQueryでSQLを書く方法一択です。

SQL文は掲載しませんが、後述する「サイクルに対応していないエラー」を回避するために、結構なクエリを書きました。勉強になったけどそれなりに大変でした。

完成したサンキーチャート

結果、以下の通りにサンキーチャートが完成しました。

 

なんか、それっぽいのが描けたような気もします。ブログ記事のサイトなので、1ページ表示しての離脱がすごく多いですね。^^;

1ページだけ表示して離脱したセッションを取り除いて、「リンク」の色をグラデーションにするとこんな感じ。Looker Studioでは、ノード(この場合はページ)からノードの間の線のことを「リンク」と呼びます。デフォルトは上記画像の通りの灰色なんですが、カラフルにもできる。ということですね。芸が細かい。

 

しかし、やってみて分かった結論は、私が今回トライした「ランディングページからのページ遷移」を可視化する場合には、GA4の「経路データ探索」レポートを使ったほうが良いです。理由は次の通りです。

ページ遷移の可視化はGA4のデータ探索レポートの方が良い理由

おもに、理由は2つあります。

1. 逆順や循環が含まれるとエラーになる

GA4のデータを取得するSQLを書く前に、スプレッドシート上に作った小さなデータで仕様を確認しました。すると、逆順や循環には対応していないことが分かりました。

以下はとても小さなデータなのでわかりやすいと思いますが、11行目までだと問題なく可視化できるものの12行目があるとエラーになります。12行目「ベネズエラ→ブラジル」は2行目のデータ「ブラジル→ベネズエラ」の逆順なので、それには対応していないからです。また、「ブラジル→ベネズエラ(2行目)」→「ベネズエラ→エクアドル(3行目)」が存在するので、ここに「エクアドル→ブラジル」を追加しても、エラーになります。循環するからです。

 

Webサイトをユーザーが利用するときには、往々にしてページA→ページB→ページAという動きや、ページA→ページB→ページC→ページAという動きはあるので、それがエラーになるのはちょっと残念です。ちなみに、エラーの種類は「データでサイクルが見つかりました。このグラフはデータ内のサイクルに対応していません」です。そのエラー表示が出た人がこのこの記事にたどり着き、その人たちの参考になると嬉しいです。Looker Studioでサンキーチャートを作成する際、頻出するエラーだと思います。

データでサイクルが見つかりました。このグラフはデータ内のサイクルに対応していません

 

2. セッションベースでのページ遷移は可視化できない。

セッションベースのページ遷移の可視化というのは、「ページA→ページBと閲覧してからページCに行った」という遷移と、「ページX→ページBと閲覧してからページCに行った」という遷移を分けて可視化するということです。

一方、見てほしいのが、前掲の11行目までのデータで作った以下のサンキーチャートです。

 

赤矢印で示したところでは、ベネズエラからエクアドルに80人移動しています。このチャートを見ると、その80人は全員スペインから来た人のように見えますが、実はそうではありません。ブラジルから来た人かもしれませんし、なんなら、もともとベネズエラに住んでいた人かもしれません。つまり、「赤矢印で示している人の移動」と、「その前の人の移動」には繋がりはなく、ただただ、示しているのはベネズエラからエクアドルに80人の移動があった。ということだけです。

Webの分析では通常、「どのランディングページからセッションを開始し、どんなコンテンツを見てからどのページに行ったのか?」が知りたいので、ちょっとこの仕様だと、Webの分析には向いていませんね。今回、私がトライしたような、ページ遷移ではなく、同じWebのデータでも、「自然検索の後、広告で訪問した人」を流量として示すメディア軸や、「東京からサイト訪問した後、神奈川県からサイト訪問した」ような地域軸だと使い勝手がよく、意味ある可視化を行える可能性はありますが。

 

まとめ

という訳で、少なくともユーザーのページ遷移については、Looker Studioのサンキーチャートは向いていないことが分かりました。それを考えると、GA4の探索配下にある「経路データ探索」レポートはなかなか優秀ですね。

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